糖尿病・代謝内科

高中性脂肪血症などの脂質異常症、高尿酸血症・痛風、肥満などの診療を行っております。
患者様一人一人の病状に合わせて治療計画を立て、その意味と内容について十分説明し
ご理解頂いて診療を開始するよう努力しております。
これらの病気は発病したばかりの頃は症状が出にくく、
放置されることが多いので見逃さないことが大切です。
また、これらの生活習慣病は一人の人にいくつも合併していることが少なくありません。
その場合は、重なっている病気全てをカバーできる治療計画が大切です。
専門外来では、患者様一人一人に合わせて、食事指導、運動指導、自己管理指導(自己血糖測定、
自己インスリン注射など)、フットケア外来、糖尿病透析予防のための療養指導等を行っております。
集団指導としては、糖尿病教室を開催しております。
このように、いろいろな角度からアプローチし、新しい治療法などを積極的に取り入れていく事で、
患者様の病気を改善し進行をストップさせる事を目指しています。
これらの病気は放置すると確実に進行し、
糖尿病では眼底出血のため失明したり腎不全のために透析を強いられたりすることになります。
また、糖尿病、脂質異常症は高血圧とともに動脈硬化を進行させ、
その結果として狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などを起こします。
このような合併症が起こらないようにするために、専門医師を中心に、
看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、検査技師など多くのスタッフが、
患者様の療養指導に一生懸命取り組んでおります。
さらに、医学の進歩、医療技術の発展に遅れる事がない様に、
学会活動、研修会受講、院内研修などスタッフの育成にも積極的に取り組んでおります。
これらの専門スタッフによるチーム医療によって理解しやすく受け入れやすい心のこもった
専門性の高い医療を実践しています。

専門外来診療

 医療面接(問診)、診察、血液・尿検査、心電図、X線検査や超音波検査などの画像検査などによって合併症の有無を調べて治療計画を立てます。特に当院の循環器内科のスタッフと医療設備を充実させ、糖尿病・脂質異常症の合併症として重要で決して見逃してはならない狭心症・心筋梗塞等の虚血性心疾患の診断と治療に力を注いでおります。

 診察と検査が終了次第、治療計画に沿って食事療法と運動療法の具体的な内容、薬物療法の必要性、合併症の精密検査と治療などについて説明いたします。加えて定期通院の必要性とその場合の通院間隔、通院が出来ない場合は通院可能な医療機関への紹介も行います。糖尿病の合併症として網膜症(眼)は必ずチェックする必要がありますので、皆様が受診可能な眼科へ紹介するようにしております。他の専門医の意見、すなわちセカンドオピニオンを希望される場合もお申し出頂ければ、ご希望の医療機関へ検査結果を添えて紹介します。

 定期通院中は診察と検査結果等から毎回治療方針・方法の見直しを行っております。そして必要があれば食事、運動、薬物療法の内容を説明しご理解いただいたた上で変更します。糖尿病などの生活習慣病があっても健康な人と変わらない生活を患者様が送ることができます様にスタッフ一同努力して参ります。

短期入院診療

 血糖値のコントロールがどうしても上手くいかない場合は1~2週間入院して頂き、血糖値を良好にすると同時に食事療法、運動療法、薬物療法などの見直しを行い、改善策の指導を行っております。

 将来的には、短期入院診療を治療入院、教育入院などに分類し、専門スタッフによって各々の患者様に合った検査、治療、指導を短期的に系統的に、そして有効に進められるよう現在準備中です。

食事療法の指導(管理栄養士)

 糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症・痛風、肥満の治療において最も基本となり、且つ重要な治療が食事療法です。

 年齢、性別、体格、一日の仕事量(労作量)、病気の程度、合併症の有無等に応じて一人一人に見合う適切な栄養量(1日の指示エネルギー量)が専門医師により処方され、食事療法が開始されます。この食事処方箋にそって管理栄養士が食事指導を実施します。

 これ迄の食事の内容と医師に処方された食事の指示を比較しながら解り易く指導する役目を担うのが管理栄養士の役割です。1日の指示エネルギー量で1日に何をどれだけ食べれば良いか、更にそれを朝食、昼食、夕食や間食にどのように分配すればよいかなど、献立のたて方や食品の選び方をふまえ詳しくお話します。

 身長に見合った体重(標準体重)に近づく為に、米やパン(主食)と魚・肉・野菜(副食)をバランス良く取り合わせて食べることがとても大切です。病気の治療のためとはいえ、長年で身についた食生活習慣を変えることは簡単ではありません。とくに成人の糖尿病である2型糖尿病は食事療法がうまくいくかどうかが治療の成功の鍵です。まずは目標を立てて出来るところから開始します。長続きする食事療法を一緒に考え、実行しましょう。

運動療法の指導(理学療法士)

 運動療法は、糖尿病の治療において食事療法とともに、車の両輪に例えられます。つまり、運動療法、食事療法のどちらかでも欠けてしまうと治療は上手く進んでいかないという事になりますので、運動療法はとても重要です。運動療法の効果としては、体重、血圧、血糖値、HbA1c、中性脂肪などが改善していきます。更に、運動にはインスリンの働きを強める効果(インスリン抵抗性の改善)や、動脈硬化の進行予防などにも効果があります。

 しかし腎症、網膜症、心疾患などの合併症の状態や腰痛、膝痛などの運動器の疾患の状態によっては運動を直ぐには開始できない場合もあります。運動をしていい状態にあるかどうかは医師が判断します。そして医師の指示のもとに理学療法士が、運動を安全に、効果的におこなうための指導を行います。運動習慣がない患者様が日常生活の中に運動を取り入れる事は、最初はかなりの労力を必要とすることが多く、長続きできないケースも多く見受けられます。糖尿病治療における運動療法は、食事療法と同様に継続して行っていただくことがとても大切なので最初は取組みやすく、体への負担も少ない「ウォーキング」から始めていただくことが長続きさせるポイントではないかと思います。

 当院の糖尿病教室では正しいウォーキング方法をはじめ、家の中で簡単に行える運動やストレッチ体操の方法や運動を行う際の注意点などを実演を交えて解りやすく説明しております。是非ご参加ください。

 楽しみながら運動を行って頂く事で先に述べた治療効果に加え、運動にはリラックス、ストレス発散効果もありますので、日常生活の質の向上にも繋がっていきます。ご自分に合って楽しく取り組むことができる運動が見つけられるよう、私たちも患者様のお手伝いをさせていただきたいと思います。いっしょに糖尿病の治療に取り組んでいきましょう。

薬物療法の指導(薬剤師)

 糖尿病の薬物療法にはインスリンの分泌を促す薬やインスリンの働きを良くする薬など様々な飲み薬(内服薬)が使われます。また、インスリン注射が使われることもあります。

 私たち薬剤師はそれらのお薬を医師の指示に従って調剤し、効果やのみ方(使い方)、副作用、他のお薬やサプリメントとののみ合わせ、低血糖時の対応などについて説明しています。

 お薬に関して少しでもわからない事や疑問に思われることがあればいつでも薬剤師にお尋ねください。

検査の指導(検査技師)

血圧脈波検査(ABI)検査

糖尿病になると動脈硬化が進行し、そのまま放置していると心筋梗塞や脳梗塞、狭心症を起こしやすくなります。動脈硬化をみる指標として血圧脈波検査があります。この検査で下肢動脈の詰まりの程度や大動脈から足首迄の動脈の硬さの程度を調べる事が出来ます。定期的に検査を受けて動脈硬化の早期発見、早期の予防と治療が大切です。

頚動脈超音波検査

これも動脈硬化を調べる検査です。頚動脈の動脈硬化は全身の動脈硬化の窓となります。頚動脈エコーで視覚的に動脈硬化の診断が可能です。高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、多量喫煙者などの動脈硬化の危険因子があり、頚動脈硬化が疑われる場合、脳梗塞(脳塞)などにかかったことがある患者様などが対象となります。仰臥位(仰向け)になっていただき、頚部にゼリーを塗って探触子で頚動脈を観察します。検査時間は15分程度で、頚動脈のプラーク(粥腫)の有無を観察します。また、先に述べた生活習慣病に対する治療効果の評価も頚動脈エコーで非侵襲的(無痛)に簡便に行う事が出来ます。

持続血糖モニター(CGMS)について

  • 図A

  • 図B

持続血糖モニターとは、一定の間隔で72時間(3日間)持続的に皮下の組織間質液中の糖濃度を測定して、その数値を血糖値に換算する事によって“血糖の変動”を記録する事ができる検査です。自己血糖測定では1日の測定回数が限られたり、夜間就寝時の測定が不可能だったりします。持続血糖モニターでは72時間にわたり5分毎の非常に詳細な“血糖の変動”を知る事が出来ます。検査の方法はお腹に測定用センサー(やわらかくて短い チューブ)を留置し測定器につないで72時間過ごして頂きます(図A)。その間生活は普通に出来ますし、シャワー浴であれば可能です。(現在は入院にて検査行っていますが外来でも実施可能です。)記録終了後血糖値に換算した数字をグラフ化しレポートを作成し報告書を作成します(図B)。保険診療として行える検査です。

糖尿病教室

 糖尿病教室は、糖尿病の原因から治療まで幅広く勉強する場です。本院に通院中または入院中の糖尿病の患者様、患者様の御家族、更には糖尿病予備軍の診断を受け生活習慣の改善を必要とされておられる方を対象としています。

 糖尿病の診療スタッフが皆様に糖尿病についての話をいたします。もちろん糖尿病について正しく理解していただくのが一番の目的ですが、糖尿病患者様のふれあいの場としても利用していただければと考えています。

  • どうして
    糖尿病になるのか?
    (なったのか?)
  • どうして
    毎回血液検査が
    必要なのか?
  • 治療は
    どうするのか?
  • 他の患者さんと
    治療方法が違うのは
    なぜか?
  • インスリン注射は
    どのような場合に
    必要なのか?

など、糖尿病に関する大切な疑問に答えていく場です。

 皆様に糖尿病のことを正しく理解していただくことから治療は始まります。まずは教室をのぞいてみて下さい。医師、薬剤師、看護師、栄養士、検査技師、理学療法士が、各々の担当分野を解りやすく説明いたします。講義は1回60分~90分、2週間おきに開催し、計4回で1回のシリーズが完結します。

 これを年に3~4回開催していく予定です。

受講希望の方は、病院受付もしくは外来看護師へ直接お申し出下さい。

病院受付:0957-22-0370